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2026.08.03
2026年から順次施行中!年金制度改正のポイントを社労士が解説

2026年から順次施行中!年金制度改正のポイントを社労士が解説

年金制度改正により、社会保険の加入対象や在職老齢年金、厚生年金保険の標準報酬月額、遺族年金、私的年金制度などが順次見直されています。

2026年8月3日時点では、すでに施行された改正がある一方、2026年10月以降に施行予定の改正や、2035年まで段階的に実施される改正もあります。

企業には、社会保険の加入対象となる従業員の確認や、改正時期に応じた準備が求められます。

この記事では、厚生労働省の公表情報をもとに、主な変更内容と施行時期、企業が確認しておきたいポイントを解説します。

1.短時間労働者への社会保険適用が段階的に拡大します

短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用範囲が、段階的に拡大されます。

現在の短時間労働者に関する加入要件のうち、月額8.8万円以上とする賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。

ただし、最低賃金法に基づく減額特例の対象となる短時間労働者で、月額賃金が8.8万円未満となる人については、原則として社会保険に加入しない取扱いが示されています。申出により任意加入することは可能です。賃金要件の撤廃後も、すべての短時間労働者が無条件で加入対象になるわけではありません。

週所定労働時間20時間以上という要件は維持され、学生は引き続き適用対象外です。

企業規模要件については、次のとおり段階的に縮小されます。

2027年10月:従業員36人以上
2029年10月:従業員21人以上
2032年10月:従業員11人以上
2035年10月:企業規模要件を撤廃

企業規模は、厚生年金保険の被保険者数を基準に判断されます。

また、常時5人以上を使用する個人事業所については、これまで非適用業種とされていた業種についても、原則として適用対象になります。この見直しは2029年10月施行です。

ただし、2029年10月の施行時点で既に存在する事業所は、経過措置により当分の間、対象外とされます。

さらに、適用拡大や、事業所が任意に短時間労働者へ社会保険を適用することにより、新たに加入する短時間労働者のうち、一定の事業所で働き、標準報酬月額が12.6万円以下の人などを対象として、3年間、本人の保険料負担を軽減できる特例措置が設けられます。この措置は2026年10月施行です。

これは、事業主が労使折半を超えて負担した保険料相当額を制度的に支援する仕組みです。対象となる事業所や労働者、軽減割合には要件があるため、最新の案内を個別に確認する必要があります。

企業は、自社の厚生年金保険の被保険者数と、短時間労働者の週所定労働時間や賃金などを確認し、今後の適用拡大の対象となる時期を整理しておく必要があります。

2.在職老齢年金の支給停止基準額が引き上げられました

在職老齢年金は、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給する人について、賞与を含む賃金を月額換算した「総報酬月額相当額」と、老齢厚生年金の「基本月額」の合計が基準額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部を支給停止する制度です。

在職老齢年金の支給停止基準額は、2026年4月から月65万円に引き上げられました。

法律上示された62万円は2024年度価格であり、賃金変動を反映した2026年度の実際の基準額は65万円です。

高年齢者を雇用している企業では、従業員から在職老齢年金について相談を受ける可能性があります。

在職老齢年金の計算では、賞与を含めた賃金や老齢厚生年金の額などが関係します。一般的な説明だけで個別の年金額や支給停止額を断定せず、年金事務所や社会保険労務士などへの確認を案内することが重要です。

3.標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられます

厚生年金保険などの保険料や年金額の計算に使われる「標準報酬月額」の上限が、現在の65万円から75万円へ段階的に引き上げられます。

引上げ時期と上限額は次のとおりです。

2027年9月:68万円
2028年9月:71万円
2029年9月:75万円

標準報酬月額の上限引上げの対象者は、保険料が増加します。一方、将来の厚生年金額も増加します。

対象者については、本人負担だけでなく、事業主が負担する厚生年金保険料も増加します。

今回新設される上位の標準報酬月額等級に該当しない人の保険料は、今回の上限引上げによっては変わりません。

企業は、報酬月額が新たな上位等級の対象となる役員や従業員がいるかを確認し、段階的な上限引上げの影響を受ける人を把握しておく必要があります。

4.遺族年金制度の男女差を解消する見直しが行われます

遺族厚生年金について、男女による取扱いの違いを解消する見直しが行われます。

遺族厚生年金は、最終的には、18歳年度末までの子がいない20代から50代の配偶者について、男女とも原則5年間の有期給付とする仕組みに見直されます。ただし、女性への見直しは段階的に実施され、2028年4月の施行直後に有期給付化の対象となるのは、2028年度末時点で40歳未満の女性です。また、18歳年度末までの子がいない60歳未満の男性が新たに支給対象となります。

ただし、すべての受給者が一律に5年間の給付になるわけではありません。

すでに遺族厚生年金を受給している人は、今回の見直しによる影響を受けません。

60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する人については、現行の給付内容が維持されます。

また、18歳年度末までの子を養育している間は、現行の給付内容が維持されます。子が18歳年度末に達した後は、さらに5年間、増額された有期給付の対象となります。有期給付終了後も、障害状態にある人や収入が十分でない人などは、最長65歳まで継続給付を受けられる場合があります。

このほか、配偶者の死亡に伴う年金記録分割、有期給付加算なども設けられます。有期給付となる遺族厚生年金については、収入要件が廃止されます。

女性への見直しは段階的に実施され、2028年度に40歳以上になる女性は今回の有期給付化による変更を受けません。対象は約20年かけて段階的に拡大されます。

中高齢寡婦加算は、25年かけて段階的に縮小されます。

遺族基礎年金についても、父または母と生計を同じくしていることを理由に、子への支給が停止される規定が見直されます。

遺族年金の見直しは、2028年4月に施行予定です。

遺族年金は、死亡時の年齢、子の有無、受給権の発生時期、収入などによって取扱いが異なります。従業員から相談を受けた場合には、一般的な説明だけで受給可否を断定せず、年金事務所や社会保険労務士などへ確認することが大切です。

5.iDeCo・企業型DCの利用範囲が広がります

公的年金を補完する私的年金制度についても、見直しが進められています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢は、2026年12月1日から70歳未満へ引き上げられる予定です。

ただし、60歳以上70歳未満のすべての人が加入できるわけではありません。

主に、次のいずれかに該当する人が対象となります。

iDeCo加入者
iDeCo運用指図者
企業年金からiDeCoに資産を移換する人

これらに該当したうえで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないこと、マッチング拠出を実施していないことなどの要件があります。

なお、施行日から3年間は経過措置が設けられ、上記のいずれにも該当しない60歳以上70歳未満の人でも、その他の加入要件を満たせばiDeCoに加入できる場合があります。

加入可否や必要な手続きは個別の状況によって異なるため、iDeCoの運営管理機関などに確認する必要があります。

企業型DCでは、従業員が事業主掛金に上乗せして掛金を拠出する「マッチング拠出」が見直されました。

企業型DCのマッチング拠出については、加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないという制限が、2026年4月1日に撤廃されました。

ただし、各企業でマッチング拠出を利用できるか、規約変更や掛金変更がいつ反映されるかは、企業の規約や制度の運営状況によって異なります。

また、中小企業向けに手続きを簡素化した簡易型DC制度は、一部の仕組みを通常の企業型DCに取り入れたうえで、2026年4月1日に通常の企業型DCへ統合されました。

企業型DCを導入している企業は、自社の規約やマッチング拠出の取扱いについて、制度を運営する機関からの案内も含めて確認する必要があります。

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企業が今から確認しておきたいこと

今回の改正は、項目ごとに施行時期が異なります。すでに施行された改正と、今後施行予定の改正を分けて整理することが重要です。

特に、次の事項を確認しておきましょう。

短時間労働者の人数、週所定労働時間、賃金など
厚生年金保険の被保険者数と、新たに適用対象となる時期
報酬月額が新たな上位等級の対象となる役員・従業員の有無
高年齢者への在職老齢年金に関する説明方法
企業型DCの導入状況とマッチング拠出の有無
今後施行される改正について、最新の公表情報や実務上の取扱い

具体的な届出や社内手続きについては、厚生労働省や日本年金機構、企業年金の運営管理機関などから公表される情報を確認しながら準備を進める必要があります。

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まとめ

年金制度改正は、すべての項目が同じ時期に施行されるわけではありません。

在職老齢年金の支給停止基準額は、2026年4月から月65万円に引き上げられました。

企業型DCのマッチング拠出について、加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないという制限は、2026年4月1日に撤廃されました。簡易型DC制度も、同日に通常の企業型DCへ統合されています。

今後は、短時間労働者の月額8.8万円以上とする賃金要件が2026年10月に撤廃される予定です。適用拡大や、事業所が任意に短時間労働者へ社会保険を適用することにより、新たに加入する短時間労働者のうち、一定の要件を満たす人の保険料負担を軽減する特例措置も、2026年10月に施行されます。

iDeCoの加入可能年齢は、2026年12月1日から70歳未満へ引き上げられる予定です。対象者や加入要件が定められているほか、施行日から3年間は経過措置が設けられます。

標準報酬月額の上限引上げは2027年9月から始まります。対象者については、本人負担だけでなく、事業主が負担する厚生年金保険料も増加します。

遺族年金の見直しは2028年4月に施行予定です。遺族厚生年金は、最終的には、18歳年度末までの子がいない20代から50代の配偶者について、男女とも原則5年間の有期給付とする仕組みに見直されます。ただし、女性への見直しは段階的に実施され、施行直後に対象となるのは2028年度末時点で40歳未満の女性です。2028年度に40歳以上になる女性は今回の有期給付化による変更を受けず、対象は約20年かけて段階的に拡大されます。

短時間労働者に関する企業規模要件は、2035年10月まで段階的に縮小・撤廃されます。

企業は施行時期を正確に区別したうえで、対象となる従業員や、本人および事業主の社会保険料への影響を確認することが大切です。

制度の適用対象や実務対応は、企業規模、従業員の働き方、賃金、年齢、年金の受給状況、企業年金規約などによって異なります。個別の適用や受給可否については、社会保険労務士、年金事務所、企業年金の運営管理機関などへ確認してください。

自社での対応に不明点がある場合は、社会保険労務士法人 経営管理センターまでご相談ください。

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