人事労務担当者必見!育児・介護休業法、女性活躍推進法などの法改正ポイントと実務対応
企業の経営者様、人事労務ご担当者の皆様、日々の業務お疲れ様です。
近年、働き方や職場環境に関する法律が目まぐるしく変化していますね。特に令和7年から令和8年にかけては、育児・介護休業法や女性活躍推進法、ハラスメント対策など、労務管理に直結する重要な法改正が立て続けに施行されます。
「何から手をつければいいか分からない」「自社にどんな影響があるのか不安」というご担当者様に向けて、本記事では最新の法改正のポイントと、実務上求められるアクションを社会保険労務士の視点からわかりやすく解説します。
1、女性活躍推進法・次世代育成支援法の改正と新たな認定制度
女性の活躍推進や子育て支援に対する社会の目は、年々厳しさを増しています。
今回の改正では、情報公表の義務化範囲が拡大され、新たな認定制度もスタートします。
【企業に求められる主な対応】
情報公表の拡大(令和8年4月1日〜):
常時雇用する労働者が101人以上の企業は、女性の活躍に関する情報の公表義務が拡大されます。
101人〜300人の事業主は「男女間賃金差異」「女性管理職比率」に加え、情報公表項目から1項目以上の公表が必要です。
301人以上の場合は計4項目以上となります。
数値目標の設定義務(令和7年4月1日〜):
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定・変更する際、育児休業の取得状況や労働時間に関する数値目標の設定が義務付けられました。
新認定制度「えるぼしプラス」等への対応:
令和8年4月1日から、女性の健康上の特性(ヘルスリテラシー向上、休暇制度の充実など)への配慮を基準に加えた新制度「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」が創設されます。
2、育児・介護休業法のポイントと柔軟な働き方の義務化
従業員の「仕事と家庭の両立」を支えるため、事業主にはよりきめ細やかな対応が求められるようになります。
育児と介護、それぞれの重要な変更点を整理しました。
【育児に関する実務ポイント】
柔軟な働き方の選択肢を用意:
3歳から小学校就学前の子を育てる労働者に対し、「始業時刻等の変更」「テレワーク等(月10日以上)」「保育施設の設置運営等」「養育両立支援休暇(年10日以上)」「短時間勤務制度」の中から、2つ以上の措置を選択して講ずる義務が新設されました。
過半数組合等からの意見聴取:
上記の措置を選択する際は、労働組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
個別の意向聴取と配慮義務:
労働者から本人や配偶者の妊娠・出産等の申し出があった時や、子が3歳になるまでの適切な時期に、仕事と育児の両立に関する意向を個別に聴取し、配慮する義務が加わりました。
男性の育休取得率の公表:
従業員300人超の企業は、毎年1回、男性の育児休業等取得率を公表することが義務付けられます。
【介護に関する実務ポイント】
介護離職防止のための早期情報提供:
従業員が介護に直面する前の早い段階(40歳到達時など)で、介護休業制度や介護休業給付金に関する情報提供を行うことが義務化されます。
3、令和8年に向けたハラスメント対策の強化
職場におけるハラスメント防止対策は、これまで以上に事業主の責任が重くなります。
【企業に求められる主な対応】
基本方針の明確化と周知:
ハラスメントを行ってはならない旨の方針や、行為者への厳正な対処内容を就業規則等に明記し、全労働者に周知・啓発します。
相談体制の整備:
相談窓口をあらかじめ定め、広く相談に対応できる体制を整える必要があります。
新たなハラスメント対策(令和8年10月1日〜):
「求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策」および「カスタマーハラスメント対策」が新たに事業主に義務付けられます。
4、就業規則の整備と新たな給付金制度
法改正に伴い、社内制度のアップデートが急務です。
従業員の経済的支援に関する新しい給付金もスタートします。
【就業規則改定のポイント】
新設された「柔軟な働き方を実現するための措置」や「ハラスメント防止規定」を就業規則に必ず記載します。
育児・介護休業法を下回るような厳しい条件を定めた規則は無効となるため、内容の精査が必要です。
常時10人以上の従業員がいる事業所は、変更後の就業規則を所轄の労働基準監督署長へ届け出ます。
【知っておきたい新たな給付金】
出生後休業支援給付金:
子の出生直後の一定期間内に、両親ともに14日以上の育休を取得した場合など、最大28日間、休業開始時賃金の13%が上乗せ支給されます。
育児時短就業給付金:
2歳未満の子を育てるために短時間勤務(時短就業)を行う場合、時短就業中の賃金の10%が支給されます。
※各種給付金の受給には、雇用保険の加入期間など一定の要件を満たす必要があります。
5、紛争解決の援助等と社労士へのご相談
万が一、制度の利用やハラスメント等を巡って労使間でトラブルが発生した場合、都道府県労働局長による紛争解決援助制度や調停を利用できます。
【紛争解決援助制度・調停のメリット】
裁判に比べて手続きが簡易・迅速であり、無料で利用可能です 。
関係者以外に内容が公にされず、プライバシーが守られます 。
労働者が制度を利用したことを理由とする、企業側の不利益取扱いは禁止されています 。
しかし、企業にとって最も理想的なのは「トラブルを未然に防ぐ社内体制の構築」です。
法改正に対応した就業規則の改定、各種認定制度の申請、ハラスメント防止体制の構築など、実務で迷われることがございましたら、ぜひ当事務所の社会保険労務士までお気軽にご相談ください。

