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2026.03.02
【建設業向け】1年単位の変形労働時間制で無理のない働き方を実現!導入のポイントを社労士が解説

【建設業向け】1年単位の変形労働時間制で無理のない働き方を実現!導入のポイントを社労士が解説

建設業の皆様、季節による業務の繁閑差にお悩みではありませんか?「繁忙期は残業続きなのに、閑散期は仕事が少ない…」といった課題を解決できるのが「1年単位の変形労働時間制」です。この制度を活用すれば、年間を通じて労働時間を効率的に配分し、従業員の負担軽減と総労働時間の短縮を図ることができます。本記事では、建設業における1年単位の変形労働時間制の基本ルールから導入に向けた具体的な手続き、さらには猛暑や積雪といった地域特性に合わせたカレンダー事例まで、社労士の視点でポイントを絞って解説します。

1. 1年単位の変形労働時間制とは?

1年単位の変形労働時間制とは、季節によって業務に繁閑が大きい場合に、繁忙期に長い労働時間を設定し、閑散期に短い労働時間を設定するなど、年間を通じて労働時間を効率的に配分することで、総労働時間の短縮を図ることを目的とした制度です。

1年間を平均して1週40時間となる範囲内で、シフト作成のルールに則って所定労働時間に凹凸をつけることができます。
制度を活用する上で、以下の重要なポイントを押さえておきましょう。

・年間の所定労働時間を、2,085時間(法定労働時間の総枠)以内で設定する必要があります。

・1週40時間、1日8時間を超える労働時間をあらかじめ設定した場合でも、その設定した時間をさらに超えて労働させた分については時間外労働となり、割増賃金を支払う必要があります 。

2. 必ず押さえたい!シフト作成のルール

この制度を運用するためのシフト作成には、過労を防ぐための厳格なルールが設けられています。

・労働日数: 年間280日まで。
・連続労働日数: 原則6日まで。ただし、労使協定で「特定期間(対象期間中で特に繁忙な期間)」を定めた場合は12日まで可能。
・労働時間の上限: 1日10時間、1週52時間まで。
・長時間の週の制限: 労働時間が48時間を超える週は「連続3回まで」。また、対象期間を3か月ごとに区分した各期間において、48時間を超える週は「3回まで」と厳格に定められています。

なお、積雪の度が著しく高い地域の建設業の屋外作業者向けには、これらのシフト作成ルールに特例(積雪特例)が設けられています 。

3. 導入に必要な手続き:労使協定と就業規則

制度を導入するためには、就業規則への規定に加え、労使協定を締結して所轄の労働基準監督署へ届け出ることが必要です。
労使協定で定めるべき5つの項目は以下の通りです。

・対象労働者の範囲
・対象期間(1か月を超え1年以内の期間)及び起算日
・特定期間(対象期間中特に繁忙な期間)
・労働日及び労働日ごとの労働時間(勤務カレンダー)
・労使協定の有効期間

また、締結した労使協定の内容については、常時各作業場の見やすい場所へ掲示したり、書面を交付したりする等の方法によって、労働者にしっかりと周知することが義務付けられています。

4. 柔軟な働き方を実現する勤務カレンダーの定め方

労使協定で定める勤務カレンダーの作成方法は、大きく分けて2つのパターンがあります。

原則: 労使協定締結時に、あらかじめ1年分の勤務カレンダーをすべて定める 。
特例: 年間を通した予定を立てるのが難しい場合は、締結時に最初の1か月分のカレンダーを定め、2か月目以降の勤務カレンダーは、その月の30日前までに定めるという柔軟な運用も可能です 。

ただし、2つ目の特例を採用する場合でも、「月ごとの所定労働日数」と「所定労働時間数」については、必ず協定締結時に決めておく必要があります。

5. 地域特性(猛暑・積雪)に合わせたカレンダー事例

建設業では気象条件が労働環境に大きく影響するため、地域特性に合わせたカレンダー設計が非常に効果的です。

・夏に猛暑が続く地域: 7月や8月の1週間の所定労働時間を30時間や20時間へと大幅に減らし、気候の穏やかな秋から年度末にかけてを繁忙期として週47.5時間〜48時間程度に増やす設定が考えられます 。
・冬に多くの積雪が見られる地域: 12月から3月などの降雪期に1週間の所定労働時間を30時間や24時間に減らし、雪のない4月〜11月を繁忙期として週50時間に設定することで、天候に逆らわない合理的な働き方が実現できます。

もちろん、これらのカレンダーはあくまでも一例です 。自社の請負サイクルの実態に合わせて、最適な所定労働時間を設定してみてください。

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