ブログ

2026.02.02
令和8年度・助成金制度の大改革案!社労士が解説する「育休・賃上げ・シニア活用」の重要変更点

令和8年度・助成金制度の大改革案!社労士が解説する「育休・賃上げ・シニア活用」の重要変更点

企業の皆様、令和8年(2026年)4月に向けた雇用関係助成金の大規模な見直し案が発表されました。今回の改正は、少子高齢化に伴う「育児・介護との両立支援」の強化や、構造的な賃上げを実現するための「人への投資」に重点が置かれています。特に、これまで中小企業に限定されていた要件の緩和や、シニア層の活用、リスキリング支援の拡充など、経営戦略に直結する変更点が多く盛り込まれています。本記事では、厚生労働省の最新資料に基づき、企業の担当者が今のうちから押さえておくべき5つの重要トピックを厳選して解説します。

両立支援等助成金(育休・介護)の要件緩和と拡充

今回の改正で最も注目すべき点の一つが、育児・介護と仕事の両立支援に関する見直しです。

まず「出生時両立支援コース(男性の育休取得促進)」について、対象となる事業主の範囲が拡大されます。
これまでは業種ごとに資本金や従業員数の定義がありましたが、改正後は業種にかかわらず「常時雇用する労働者が300人以下の事業主」であれば対象となります。
また、事実婚状態にある男性労働者の育児休業も対象に含まれることが明記されます。

さらに、「育休中等業務代替支援コース」も大幅に拡充されます。
育児休業や短時間勤務期間中の手当支給について、これまでの人数要件(300人以下)が撤廃され、より規模の大きな企業でも利用しやすくなります。
また、代替要員を新規雇用した場合の助成について、業務代替期間が「1年以上」となる長期のケースには、81万円(プラチナくるみん認定企業は99万円)という高額な区分が新設される予定です。

介護支援についても、「介護離職防止支援コース」において、有給の介護休暇制度を導入し利用実績が出た場合に支給される新たな枠組み(30万円~50万円)が設けられます。

キャリアアップ助成金「情報公表加算」の新設

非正規雇用労働者の正社員化を支援する「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」にも新たな加算措置が追加される見込みです。

企業の透明性を高め、非正規労働者の処遇改善を促進する観点から「情報公表加算」が新設されます。
これは、自社のウェブサイト等で「正社員転換制度の概要」「過去3年間の転換実績人数」「転換にかかった平均期間」などの情報を公表した事業主に対して、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されるものです。

これまでの正社員転換の実績を外部にアピールすることが、採用力の強化だけでなく、助成金の受給額増にもつながる仕組みとなります。

早期再就職支援等助成金(中途採用)の要件見直し

中途採用を拡大する企業を支援する「中途採用拡大コース」は、より「賃上げ」を重視した内容にシフトする予定です。

まず、支給要件として中途採用者の賃金を雇入れ前と比較して「5%以上上昇」させることが必須となります。
その代わり、採用人数の要件は「2名以上」から「1名以上」へと緩和され、小規模な採用でも利用しやすくなります。

助成額の計算方法も変更され、これまでの「1事業所あたりの定額」から「対象者1人あたり」の支給(1人20万円、上限20人)に見直されます。
さらに、生産性向上や企業全体の平均賃金上昇などの成長要件を満たせば、1人あたり10万円が加算される仕組みとなり、成長企業にとってメリットの大きい制度になることが期待されます。

一方で、45歳以上を対象とした優遇措置(Bコース)や、利用実績の少なかったUIJターンコースは廃止となる予定です。

65歳超雇用推進助成金の使い勝手向上

高齢者の活用を進める企業への支援も柔軟になります。
「65歳超継続雇用促進コース」における大きな変更点は、「1事業主あたり1回限り」という制限の廃止です。

これまでは一度受給すると終わりでしたが、改正後は、定年の引上げや継続雇用制度の導入などを段階的に実施する場合でも、その都度要件を満たせば助成を受けられるようになります。
例えば、まずは66歳への定年引上げを行い、数年後に70歳まで引き上げるといったステップアップが支援されやすくなります。

また、他社からの出向や移籍を受け入れる「他社による継続雇用制度」の導入については、これまでの経費に対する定率助成から、導入人数等に応じた「定額助成(16万円~105万円)」に変更され、見通しが立ちやすくなります。

人材開発支援助成金における中高年層への支援強化

リスキリングや職業訓練を支援する「人材開発支援助成金」では、ベテラン層のスキルアップに焦点が当てられています。

新たに「中高年齢者実習型訓練」が創設され、45歳以上の労働者を対象としたOJT(実務による訓練)とOFF-JT(座学等)を組み合わせた訓練が助成対象に追加されます。
中高年層の就業率が高まる一方で、訓練機会が減少している現状を改善するための措置です。

また、企業変革を後押しする「事業展開等リスキリング支援コース」では、訓練終了後に事業展開に資する新たな機器・設備を導入し、かつ受講者に対して所定の賃上げ(5%以上等)を行った場合、機器購入費用の2分の1(上限あり)が助成される新たな仕組みも追加されます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の改正案は、単に制度が変わるだけでなく、企業の「賃上げ力」や「情報公開」、「柔軟な働き方への対応力」が問われる内容となっています。
令和8年の施行に向けて、就業規則の見直しや人事制度の再設計など、早めの準備をお勧めいたします。

採用情報
労働保険申告 賃金集計表