経営者必見!全労働者に適用される「労働基準法の基礎知識」5つのポイント
企業を経営する上で、労働基準法の遵守は不可欠です。労働基準法は、正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム労働者など名称を問わずすべての労働者に適用される重要なルールです。今回は、経営者や人事担当者の皆様が必ず押さえておくべき「労働基準法の基礎知識」について、5つのトピックに絞って分かりやすく解説します。基本を正しく理解し、健全な職場環境の構築にお役立てください。
1. 労働条件の明示義務について
労働者を採用する際、使用者は必ず労働条件を明示しなければなりません。
原則として書面(労働者が希望した場合はFAXや電子メール等も可)で明示しなければならない事項には、契約期間、就業場所と従事する業務、始業・終業時刻や休憩・休日、賃金の決定方法や支払い時期、退職に関する事項などがあります。
また、有期労働契約を更新する場合の基準や、無期転換の申込みに関する事項も明示が必要です。
後々のトラブルを防ぐためにも、厚生労働省のホームページにあるモデル労働条件通知書などを活用し、正確に明示しましょう。
2. 賃金支払いの5原則とは
賃金の支払いには、労働基準法で定められた「5原則」があります。
①通貨払い:
現物支給は禁止されており、通貨で支払う必要があります(労働者の同意があれば銀行振込等も可能です)。
②直接払い:
労働者本人に直接支払う必要があります。
③全額払い:
法令や労使協定で定められたもの以外は控除できず、全額を支払う必要があります。
④毎月1回払い:
賞与等を除き、毎月少なくとも1回は支払う必要があります。
⑤一定期日払い:
「毎月15日」など周期的な支払い期日を定める必要があります。
また、労働者の同意があっても最低賃金額を下回ることは決してできません。
3. 労働時間、休憩、休日の基本ルール
労働時間の上限は、原則として「1日8時間、1週40時間」と定められています(※ただし、従業員10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業については「1週44時間」とする特例があります)。
また、休日は少なくとも1週間に1日、または4週間を通じて4日以上与えなければなりません。
この上限を超えて労働させる場合には、あらかじめ労使協定(いわゆる36協定)を結び、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
休憩については、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、勤務時間の途中で与える義務があります。
なお、休憩中であっても電話や来客対応を指示されている場合は「労働時間」とみなされるため、十分な注意が必要です。
4. 割増賃金と年次有給休暇の管理
時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から翌午前5時)を行わせた場合、企業は割増賃金を支払う義務があります。
割増率は、時間外労働と深夜労働で2割5分以上、休日労働で3割5分以上となります。
また、2023年4月より中小企業にも適用が拡大され、「1か月60時間を超える時間外労働」については5割以上の割増賃金が必要となっているため、特に注意が必要です。
また、雇い入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には年次有給休暇が与えられます。
さらに、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対しては、年5日の年次有給休暇を取得させることが使用者の義務となっていますので、確実な取得管理が求められます。
5. 解雇のルールと就業規則の作成・周知
やむを得ず労働者を解雇する場合、30日以上前に予告するか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。
ただし、「業務上のケガや病気による療養のための休業期間とその後の30日間」、および「産前産後の休業期間とその後の30日間」は、原則として解雇することが法律で固く禁じられています。
また、それ以外であっても、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効となります。
また、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見書を添えて労働基準監督署に届け出る義務があります。
就業規則には、始業・終業時刻や賃金、退職に関する事項などを必ず記載し、各作業場の見やすい場所に掲示するなどして、すべての労働者に周知徹底する必要があります。

