【2026年から順次施行】年金制度改正のポイントを社労士が解説!パート加入拡大や在職老齢年金の緩和で何が変わる?
人生100年時代を迎え、私たちの働き方や家族の形は多様化しています。それに伴い、国の年金制度も大きな転換期を迎えています。
今回の改正では、短時間労働者の社会保険加入拡大や、働くシニア層の年金減額基準の緩和など、企業の実務や従業員のライフプランに直結する重要な変更が盛り込まれました。
本記事では、公開された最新資料をもとに、2026年(令和8年)から順次施行される改正の重要ポイントを5つに絞って分かりやすく解説します。
1. 社会保険の加入対象がさらに拡大されます
これまで従業員数「51人以上」の企業等に限られていた短時間労働者の社会保険加入義務が、企業規模にかかわらず適用されるようになります。
2027年10月を目処に従業員数「36人以上」の企業規模を対象に、社会保険の加入について、拡大が行われる見通しとなり、
段階的に実施される予定です。
【企業規模要件の撤廃】 2029年10月以降、常時5人以上の従業員がいる個人事業所なども含め、段階的に全ての企業規模で加入が必要になります。
【対象となる働き方】 「週20時間以上勤務」「月額賃金8.8万円以上」などの要件は維持されますが、企業規模の要件がなくなることで、いわゆる「年収106万円の壁」を意識する層が大幅に変化します。
【企業の対応】 新たに対象となる短時間労働者への負担軽減措置として、事業主が追加負担を行う場合の支援策なども検討されています。
2. 「在職老齢年金」の基準額が62万円へ引き上げ
「年金をもらいながら働くと年金がカットされる」という在職老齢年金制度が見直されます。
【基準額の変更】 現在の月額「50万円」から「62万円(2024年度価格)」に引き上げられます。
【メリット】 給与と年金の合計が62万円までは年金が全額支給されるため、年金減額を避けるための就業調整(働き控え)が解消され、シニア層がより活躍しやすい環境になります。
【施行時期】 2026年4月から適用予定です。
3. 厚生年金保険料の計算に使う「上限」が引き上げられます
現在、厚生年金保険料の計算基礎となる標準報酬月額(給与ランク)の上限は65万円ですが、これが段階的に引き上げられます。
【上限額の推移】 2027年9月から68万円、2028年9月から71万円、2029年9月から75万円へと引き上げられます。
【影響】 月収が65万円を超える高所得層にとっては保険料負担が増えますが、その分、将来受け取る年金額も増加します。会社側も同額の保険料負担増となるため、人件費予算への反映など注意が必要です。
4. 遺族年金等の制度が時代に合わせて変化します
女性の就業率向上や家族の多様化に合わせ、遺族厚生年金の男女差が解消されます。
【男女差の解消】 これまで男女で異なっていた給付期間等の要件が見直されます(男性は2028年から、女性は20年かけて段階的に実施)。
【子供への支給拡大】 親が再婚した場合などでも、子供が遺族基礎年金を受け取りやすくなるよう要件が緩和されます。
5. iDeCo・企業型DCの利便性が向上します
公的年金を補完する私的年金制度(iDeCoや企業型DC)も、より長く、柔軟に利用できるようになります。
【iDeCoの加入年齢】 受給開始の上限年齢が引き上げられ、70歳になるまで加入・拠出が可能になります(3年以内に実施)。
【企業型DCの拠出限度額】 従業員が掛金を上乗せする「マッチング拠出」において、事業主掛金を超えてはいけないという制限が撤廃されます。これにより、従業員は非課税メリットを最大限活かした資産形成が可能になります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ:制度改正をチャンスと捉え、早めの対策を
今回の改正は、企業にとって社会保険料の負担増や事務手続きの変更を伴うものです。しかし一方で、在職老齢年金の緩和による「シニア人材の活用」や、社会保険適用拡大による「安定的な雇用関係の構築」など、人材戦略上のチャンスとも捉えられます。
特にパートタイマーの多い企業様にとっては、対象者の洗い出しや雇用契約の見直し、従業員一人ひとりへの丁寧な説明が不可欠です。また、高所得者の保険料上限引き上げは、役員報酬や給与設計にも影響を与える可能性があります。
2026年の施行直前になって慌てないよう、今から自社の状況をシミュレーションし、就業規則の改定や新たな働き方の提案準備を進めておくことをお勧めします。
当センターでは、法改正に伴う実務対応のご相談も承っております。ご不明な点やご不安なことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

