2024.06.26
労働時間通算の見直し
今回の骨太の方針、成長戦略には様々な注目ポイントがありますが、人事労務の実務家にとって目を引くのが「副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の見直し」の項目でしょう。まずは成長戦略に盛り込まれたこの内容を見てみましょう。
⑤副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の見直し
労働者が副業・兼業を行う場合には、複数の事業場の労働時間を通算して管理する必要があり、割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理について、制度が複雑で企業側にとって重い負担となっているために、副業・兼業の許可が難しいとの指摘がある。 副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の在り方について、労働基準法等の関係法令における解釈の変更も含めて検討し、結論を得る。
副業・兼業時には、異なる事業主の仕事であったとしてもその労働時間を通算し、1日8時間を超えた部分については割増賃金を支給しなければならないというルールになっていますが、これが結果的に雇用型の副業・兼業の普及を阻害しているという意見が強くなっています。今回、この点にメスが入れられようとしています。あくまでも通算を見直すのは割増賃金にかかる部分だけであり、過重労働対策としてはむしろ強化をしていく必要があるのでしょう。
このルールの見直しが行われると、多くの企業で雇用型の副業・兼業の解禁が進められることになるでしょう。いまのうちから自社の方向性について考えておくことが望まれます。