社員の学び直しに取り組んでいる企業
「リスキリング」「学び直し」が注目される中、学情が、企業・団体の人事担当者を対象に、スキルアップや学び直しの支援、生産性向上について、企業の取り組み状況を調査しました。今回はその調査結果に注目したいと思います。(調査期間:2024 年 1 月 22 日~ 1 月 31 日 調査対象:企業・団体の人事担当者 有効回答数:531 社 調査方法:Web 上でのアンケート調査)
同調査に回答があった企業のうち、まず、社員のスキルアップ、学び直しの取り組みについて「実施している」との回答が 69.1%に上ったということです。また、社員のスキルアップ、学び直しのために実施していること(複数回答可)についての回答結果は、以下のとおり「リスキリング手当の支給」が 最多で、次に「書籍の購入補助」「資格取得支援」と続いています。
リスキリング手当の支給 28.4%
書籍の購入補助 24.2%
資格取得支援 14.0%
eラーニングの導入 12.9%
社内研修の実施 11.7%
社外研修の活用 9.5%
その他 31.4%
多くの企業が何等かの取り組みを行っていることがわかりますが、 一方で、内閣府の資料(「令和4年度 年次経済財政報告」)によれば、仕事に関連する社会人学習への参加率をOECD加盟国間で比較すると、日本は特に勤務先の費用負担がある学習への参加率が諸外国に比べて低く、OECD平均を下回っていることが指摘されています。日本における学び直しにおける企業側の主要な課題としては「指導する人材や時間の不足」が、労働者側は「時間・費用負担等」が挙げられたということです。
また、特に規模の小さい企業ほど職種に特有の実践的スキル向上ニーズが高い一方で、労働者の自己啓発支援を行っていない割合が高く、OJTやOFF-JTの実施割合が低いこという調査結果(「令和4年度 年次経済財政報告」)も出ており、社員の能力開発・人材育成への対応不足により、企業の競争力が低下していくことが懸念されます。
今後、企業側としては「手当の支給」や「書籍補助」といった限定的な支援にとどまらず、中長期的に業務に必要な技術や能力等を明確化することや、業務効率化による人材育成への費用・時間等のリソース確保など、より全体的な視点で学び直しに取り組む必要に迫られることになりそうです。