改正が見込まれる育児・介護休業法
育児・介護休業法については、労働関連法の中でも最も改正の多い法律といっても過言ではないでしょう。その法律の再改正の内容について、厚生労働省の労働政策審議会から厚生労働大臣に対し、おおむね妥当である旨の答申が行われました。
その内容のうち、育児・介護休業法の改正にかかる主な点を確認します。
1.子の看護休暇の改正
・子の看護休暇について、子の入園式、卒園式、入学式その他これに準ずるものへの参加をするために取得することができる休暇とするとともに、小学校第3学年修了前の子を養育する労働者が取得できるものとする。これに伴い、子の看護休暇の名称を「子の看護等休暇」に改める。
・労使協定で子の看護等休暇を取得することができないものとして定めることのできる労働者から、当該事業主に引き続き雇用された期間が6ヶ月に満たない労働者を除くこととする。
2.介護休暇の改正
・労使協定で介護休暇を取得することができないものとして定めることのできる労働者から、当該事業主に引き続き雇用された期間が6ヶ月に満たない労働者を除くこととする。
3.育児のための所定外労働の制限の改正
・子を養育するために所定外労働の制限を請求することができないものとして労使協定で定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合において、事業主が所定労働時間を超えて労働させてはならない労働者の範囲を、3歳に満たない子を養育する労働者から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者へと拡大する。
4.介護についての申出があった場合等における措置等の新設
・事業主は、労働者が、対象家族が当該労働者の介護を必要とする状況に至ったことを申し出たときは、介護両立支援制度等の事項を知らせるとともに、介護両立支援制度等申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談等の措置を講じなければならないものとする。
・事業主は、労働者が40歳に達した日の属する年度に一定の介護に関する事項を知らせなければならないものとする。
5.雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置の改正
・事業主は、介護休業申出が円滑に行われるようにするため、雇用環境の整備の措置を講じなければならないものとする。
・事業主は、介護両立支援制度等申出が円滑に行われるようにするため、雇用管理等に関する措置を講じなければならないものとすること。
6.育児休業の取得の状況についての公表の改正
・毎年少なくとも1回、雇用する労働者の育児休業の取得の状況の公表をする事業主の範囲を、常時雇用する労働者の数が1,000人を超えるものから300人を超えるものへと拡大する。
7.育児のための所定労働時間の短縮措置等の改正
・育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難なため、所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときに、代替措置の選択肢として、在宅勤務等を加える。
8.小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者及び家族の介護を行う労働者に関する措置の改正
・3歳に達するまでの子を養育する労働者に関して講ずるよう努めなければならない措置として、在宅勤務等の措置を加える。
・家族を介護する労働者に関して講ずるように努めなければならない措置として、在宅勤務等をさせることを加える。
このほかにも細かな点の改正が盛り込まれているほか、次世代育成支援対策推進法の改正も盛り込まれています。改正法案が成立したときには、実務上大きな影響が出ることは必至です。