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2021.04.26
廃業ではなく「休眠(休業)会社」という選択

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廃業ではなく「休眠(休業)会社」という選択

新型コロナウイルスの影響で業績不振となり、廃業を検討されている事業者の方は少なくありません。廃業では、 廃業完了までにかかる費用がかなり高額となることもあるため、会社を「休眠(休業)会社」として、法人格は残すという選択もよく行われてます。会社が休眠状態を長く継続すれば、実態は廃業したものと変わらないとも言えます。なお、会社を休業とした場合、休業であることを登記する必要はありません。

■会社の休眠とは
 会社の休眠とは、文字通り「会社を休みとすること」です。事業活動を停止させるだけなので、会社は法律上存在しつづけます。この点が、会社が消滅して消える廃業との一番の違いで、休業会社であれば将来において簡単に事業を再開することもできます。

■休業で必要となる税務関係の手続き
 現在申告している税務署と都道府県、市区町村へ、異動届を提出します。
1.税務署への届出
・「異動届出書」
休業届がないため、異動届出書に休業した旨を記載し提出します。
・「給与支払事務所等廃止届出書」
2.都道府県、市区町村への届出
・「異動届出書」
自治体によって指定の「休業届」用紙があることもあります。無ければ税務署と同じように異動届出書に休業した旨を記載して提出します。
自治体によりますが、休業届(異動届)を提出すると、法人県民税均等割と法人市民税均等割が免除となるケースもあります。
休業届(異動届)の提出期限は決まっていませんが、休業となったら速やかに提出するようにします。

■休業で必要となる保険関係の手続き
 休業で社会保険の被保険者がいなくなった場合は、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」、ハローワークに「雇用保険適用事業所廃止届」、労働基準監督署に「労働保険確定保険料申告書」を提出します。

■休業継続中でも必要な手続き
1.税務申告
会社は休眠でも毎年の確定申告は必要です。所得がなければ法人税がかからないのは営業を営んでいる通常の法人と同じです。
会社が2年連続して申告をしなければ、青色申告の承認が取り消されます。休眠会社によく見られるので注意してください。
2.登記関係
役員の任期が満了した場合は、休眠会社であっても変更登記が必要となります。役員変更登記をしなかった場合は、代表者に過料が発生する可能性があるので注意が必要です。
さらに株式会社の場合ですと、最後の登記から12年間経過すると、みなし解散の対象となるので登記の管理をしっかり行う必要があります。

執筆者

税理士 田中利征

税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー

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